Ⅰ.現物分配法人の税務
1.資産の移転に係る譲渡損益
内国法人が適格現物分配により被現物分配法人その他の株主等にその有する資産の移転をしたときは、当該被現物分配法人その他の株主等に当該移転をした資産の当該適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法法62条の5第3項)。
2.利益積立金額の減少
利益積立金額から現物分配する資産の交付直前の帳簿価額を控除する(法令9条8号)。
3.源泉徴収
適格現物分配は配当所得とならない(所法24条1項)。そのため源泉徴収は不要である。
Ⅱ.被現物分配法人の税務
1.現物分配により取得した資産の取得価額
適格現物分配直前の帳簿価額相当額(法令123条の6第1項)
2.益金不算入
内国法人が適格現物分配により資産の移転を受けたことにより生ずる収益の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない(法法62条の5第4項)。
3.利益積立金額の増加
利益積立金額に現物分配法人から交付を受けた資産の当該適格現物分配の直前の帳簿価額相当額を加算する(法令9条4号)。
4.適格組織再編成等が行われた場合の欠損金の使用制限
一定の要件を満たした場合、適格組織再編成等が行われた場合の欠損金の使用制限の規定が適用される。
5.特定組織再編成等が行われた場合の特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
一定の要件を満たした場合、特定組織再編成等が行われた場合の特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の規定が適用される。