消費税額計算時の積上げ計算方式と割戻し計算方式

1.概要

インボイスには税率ごとに区分した消費税額等を記載しなければならない。消費税計算時にインボイスに記載された消費税額等を合計する方法を積上げ計算方式、税込価額の合計を税率で割り戻して計算する方法を割戻し計算方式という。売上税額と仕入税額で原則的な計算方式が異なる。

2.売上税額

課税売上に係る消費税額は原則として割戻し計算方式により計算する(消法45条1項)。例外的に提出すべき申告書に係る課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき交付した適格請求書等を保存している場合、積上げ計算方式により計算することができる(消法45条5項)。

3.仕入税額

課税仕入に係る消費税額は原則として積上げ計算方式により計算する(消令46条1項)。例外的に売上税額を割戻し計算方式により計算している場合、仕入税額につき割戻し計算方式により計算することができる(消令46条3項)。

4.売上税額と仕入税額の計算方式の組み合わせ

原則として売上税額は割戻計算方式により計算し、仕入税額は積上げ計算方式により計算するが、異なる組み合わせを採用することもできる。採用することができる組み合わせは以下の通りである。

売上税額仕入税額適用の可否
割戻し計算方式積上げ計算方式適用できる
割戻し計算方式適用できる
積上げ計算方式積上げ計算方式適用できる
割戻し計算方式適用できない

売上税額を積上げ計算方式により、仕入税額を割戻計算方式により計算することはできない。