電子帳簿保存法と仕入税額控除

1.概要

インボイス制度導入前
(令和5年9月30日まで)
インボイス制度導入後
(令和5年10月1日以降)
スキャナ保存
(紙で受け取った請求書等のデータ保存)
スキャナ保存の要件を満たしている場合、データ保存のみで仕入税額控除をすることができる。
電子取引
(はじめからデータのみ)
帳簿に電子取引である旨と相手方の住所又は所在地を記載することで仕入税額控除をすることができる(データ保存のみでは仕入税額控除ができない)。データ保存のみで仕入税額控除をすることができる
※別途電子帳簿保存法の規定に従い、保存しなければならない。

2.スキャナ保存と仕入税額控除

電子帳簿保存法に従って請求書等をスキャナ保存した場合、そのデータの保存をもって国税関係書類の保存に代えることができる電帳法4条3項)。請求書等は国税関係書類であるため、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たして保存していれば、データ保存のみで仕入税額控除をすることができる。

3.電子取引と仕入税額控除

(1)インボイス制度導入前

インボイス改正前の消費税法の仕入税額控除に係る請求書等は書類のみで、電磁的記録が含まれていない(消法30条9項参照)。またスキャナ保存と異なり、電子取引については電子帳簿保存法において電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代えることができる旨の規定がない。そのためデータ保存のみでは仕入税額控除をすることができない。

電子取引であることにより請求書等の交付を受けられない場合、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとされる(質疑応答事例「インターネットを通じて取引を行った場合の仕入税額控除の適用について」)。請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合、帳簿にその理由及び相手方の住所又は所在地を記載することで仕入税額控除できる(消法30条7項但書、消令49条1項)。従って帳簿にやむを得ない理由として「インターネットを通じた取引」「電子取引」などと記載し、相手方の住所又は所在地を記載することで仕入税額控除をすることができる。

(2)インボイス制度導入後

インボイス改正後請求書等には電磁的記録も含まれるため、データ保存のみで仕入税額控除ができる(インボイス改正後消法30条9項)。