非居住者の基本的な課税関係

1.非居住者の納税義務

非居住者は国内源泉所得を有する場合、所得税の納税義務を負う(所法5条2項1号)。

2.国内源泉所得

国内源泉所得とは以下のものをいう(所法161条1項)。

  • ①恒久的施設帰属所得
  • ②国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得(⑧から⑯までに該当するものを除く)
  • ③国内にある資産の譲渡により生ずる所得
  • ④組合契約事業利益の配分
  • ⑤土地等の譲渡対価
  • ⑥人的役務の提供事業の対価
  • ⑦不動産の賃貸料等
  • ⑧利子等
  • ⑨配当等
  • ⑩貸付金利子
  • ⑪使用料等
  • ⑫給与その他人的役務の提供に対する報酬、公的年金等、退職手当等
  • ⑬事業の広告宣伝のための賞金
  • ⑭生命保険契約に基づく年金等
  • ⑮定期積金等の給付補填金等
  • ⑯匿名組合契約等に基づく利益の分配
  • ⑰その他の国内源泉所得

3.非居住者に対する課税方法

非居住者に対する課税方法は総合課税と分離課税がある(所法164条)。いずれの課税方法が適用されるかは国内源泉所得の種類のほか、その非居住者が恒久的施設を有するか等どうかによる。下記のようにまとめられる。

恒久的施設を有する恒久的施設を有しない
原則例外
①恒久的施設帰属所得総合課税
②国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得(⑧から⑯までに該当するものを除く)恒久的施設帰属所得に該当する場合は総合課税総合課税
③国内にある資産の譲渡により生ずる所得
④組合契約事業利益の配分課税なし
⑤土地等の譲渡対価恒久的施設帰属所得に該当する場合は総合課税総合課税
⑥人的役務の提供事業の対価
⑦不動産の賃貸料等
⑧利子等分離課税分離課税
⑨配当等
⑩貸付金利子
⑪使用料等
⑫給与その他人的役務の提供に対する報酬、公的年金等、退職手当等
⑬事業の広告宣伝のための賞金
⑭生命保険契約に基づく年金等
⑮定期積金等の給付補填金等
⑯匿名組合契約等に基づく利益の分配
⑰その他の国内源泉所得総合課税総合課税

恒久的施設を有する非居住者については②から⑰の国内源泉所得が恒久的施設帰属所得にも該当し得る。その場合、恒久的施設帰属所得の課税方法が優先される(所法164条1項1号ロかっこ書き、2項1号かっこ書き)。

また恒久的施設を有する非居住者に対する組合契約事業利益の配分は恒久的施設帰属所得に該当するか関係なく総合課税されることになっている(所法164条1項1号イ)。そのため上記表では「総合課税」としている。しかし国税庁の源泉徴収のあらましでは「課税対象外」となっている。根拠として挙げられている条文を確認してもそのような解釈になる理由は不明である。組合契約事業利益の配分自体が恒久的施設に係る事業に関するものとされており、恒久的施設帰属所得に近い所得となっているため、組合契約事業利益の配分はすべて恒久的施設帰属所得に該当するものとした整理なのではないかと思われる。

4.申告義務

総合課税される所得については居住者と同様申告義務が課せられている(所法166条)。個人である納税者が日本に住所及び居所を有しない場合において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、日本に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない(国税通則法117条1項)。非居住者に申告義務がある場合において、当該非居住者が日本に住所及び居所を有しないときは納税管理人を選任しなければならない。