1.前書き
法人税法上、法人を設立する分割を新設分割といい、この新設分割のうち一の法人のみが分割法人となるものを単独新設分割という(法令4条の3第6項1号)。新設合併もスピンオフ税制を除けば他の組織再編と同様に適格分割に該当するパターンは以下のようにわかれる。
- 完全支配関係がある場合
- 支配関係がある場合
- 共同事業要件を満たす場合
またいずれのパターンも金銭等不交付要件を満たさなければならない(法法2条12号の11柱書)。金銭等不交付要件とは、分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないことをいう(同条)。さらに当該株式が交付される分割型分割の場合、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式又は出資の数又は金額の割合に応じて交付されていなければならない(同条かっこ書き)。
2.完全支配関係がある場合
(1)基本的な要件
単独新設分割が以下の要件を満たす場合、適格分割に該当する(法法2条12号の11イ)。
- ① 完全支配関係要件を満たすこと
- ② 金銭等不交付要件を満たすこと
(2)完全支配関係要件
①分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係がある場合
単独新設分割後に当該単独新設分割に係る分割法人と分割承継法人との間に当該分割法人による完全支配関係があり、当該単独新設分割後に当該完全支配関係が継続することが見込まれている場合、完全支配関係要件を満たす(法令4条の3第6項1号ハ)。
当該単独新設分割後に当該分割承継法人を被合併法人又は完全子法人とする適格合併又は適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併又は適格株式分配の直前の時まで当該完全支配関係が継続することが見込まれていればよい(法令4条の3第6項1号ハかっこ書き)。
②分割法人と分割承継法人との間に同一の者による完全支配関係がある場合
単独新設分割後に当該単独新設分割に係る分割法人と分割承継法人との間に同一の者による完全支配関係があり、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める要件に該当することが見込まれている場合、完全支配関係要件を満たす(法令4条の3第6項2号ハ)。
| 当該単独新設分割が分割型分割(法第六十二条の六第一項に規定する分割を除く。)に該当する場合 | 当該単独新設分割後に当該同一の者と当該分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること。当該単独新設分割後に当該分割承継法人を被合併法人又は完全子法人とする適格合併又は適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併又は適格株式分配の直前の時まで当該完全支配関係が継続すればよい |
| その他の場合 | 当該単独新設分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による完全支配関係が継続すること。当該単独新設分割後に当該分割法人又は分割承継法人を被合併法人又は完全子法人とする適格合併又は適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併又は適格株式分配の直前の時まで当該完全支配関係が継続すればよい |
3.支配関係がある場合
(1)基本的な要件
単独新設分割が以下の要件を満たす場合、適格分割に該当する(法法2条12号の11ロ)。
- ① 支配関係要件を満たすこと
- ② 金銭等不交付要件を満たすこと
- ③ 当該分割により分割事業に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること
- 分割事業とは分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。
- ④ 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務など以下の業務に従事することが見込まれていること
- 当該分割承継法人の業務
- 当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務
- 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務
- ⑤ 当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人など以下の法人において引き続き行われることが見込まれていること
- 当該分割承継法人
- 当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人
- 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人
(2)支配関係要件
①分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係がある場合
単独新設分割後に当該単独新設分割に係る分割法人と分割承継法人との間に当該分割法人による支配関係があり、当該単独新設分割後に当該支配関係が継続することが見込まれている場合、支配関係要件を満たす(法令4条の3第7項1号ハ)。
当該単独新設分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該支配関係が継続すればよい(法令4条の3第7項1号ハかっこ書き)。
(2)分割法人と分割承継法人との間に同一の者による支配関係がある場合
単独新設分割後に当該単独新設分割に係る分割法人と分割承継法人との間に同一の者による支配関係があり、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める要件に該当することが見込まれている場合、支配関係要件を満たす(法令4条の3第7項2号、6項2号ハ)。
| 当該単独新設分割が分割型分割(法第六十二条の六第一項に規定する分割を除く。)に該当する場合 | 当該単独新設分割後に当該同一の者と当該分割承継法人との間に当該同一の者による支配関係が継続すること(当該単独新設分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該支配関係が継続すること) |
| その他の場合 | 当該単独新設分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当該同一の者による支配関係が継続すること(当該単独新設分割後に当該分割法人又は分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該単独新設分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該支配関係が継続すること) |
4.共同事業要件を満たす場合
単独新設分割が以下の要件を満たす場合、適格分割に該当する(法法2条12号の11ハ、法令4条の3第8項)。ただし当該分割の直前に当該分割に係る分割法人の全てについて他の者との間に当該他の者による支配関係がないときは⑦の要件を満たす必要はない(法令4条の3第8項かっこ書き)。
- ① 金銭等不交付要件を満たすこと
- ② 分割に係る分割法人の分割事業と当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業とが相互に関連するものであること。
- 分割事業とは、当該分割法人の当該分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。
- 分割承継事業とは、当該分割承継法人の当該分割前に行う事業のうちのいずれかの事業をいい、当該分割が複数新設分割である場合にあつては、他の分割法人の分割事業をいう。
- ③ 以下のいずれかを満たすこと
- 分割に係る分割法人の分割事業と当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業で当該分割事業と関連する事業のそれぞれの売上金額、当該分割事業と分割承継事業のそれぞれの従業者の数又はこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと
- 当該分割前の当該分割法人の役員等のいずれかと当該分割承継法人の特定役員(当該分割が複数新設分割である場合にあっては、他の分割法人の役員等)のいずれかとが当該分割後に当該分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること
- 役員等とは、役員及び法人税法施行令4条の3第4項2号に規定するこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。
- 特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう(法令4条の3第4項2号)。
- ④ 分割により当該分割に係る分割法人の分割事業に係る主要な資産及び負債が当該分割に係る分割承継法人に移転していること。
- ⑤ 分割に係る分割法人の当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割に係る分割承継法人の業務など以下の業務に従事することが見込まれていること。
- 分割承継法人の業務
- 当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務
- 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務
- ⑥ 分割に係る分割法人の分割事業で、当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業と関連する事業が当該分割後に当該分割承継法人など以下の法人において引き続き行われることが見込まれていること。
- 当該分割承継法人
- 当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人
- 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人
- ⑦ 次に掲げる分割の区分に応じそれぞれ次に定める要件を満たすこと
- 分割型分割の場合、対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていること
- 対価株式とは、当該分割型分割により交付される当該分割型分割に係る分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれか一の法人の議決権のある株式であって支配株主に交付されるものをいう。
- 支配株主とは、①当該分割型分割の直前に当該分割型分割に係る分割法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がある場合における当該他の者及び②当該他の者による支配関係があるもので当該分割承継法人以外のものをいう。
- 当該分割型分割が無対価分割である場合にあっては、「支配株主が当該分割型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の数」に「『当該分割型分割が適格分割型分割に該当するものとした場合における当該分割型分割の直後の当該分割型分割に係る分割承継法人の株式の帳簿価額』のうちに『分割純資産対応帳簿価額』の占める割合」を乗じて計算した数の当該分割承継法人の株式をいう(法規3条の2の2第2項、3項)。
- 当該分割型分割後に行われる適格合併により当該対価株式が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該合併法人において継続して保有されることが見込まれていればよい。
- 当該分割型分割後に当該分割承継法人又は当該分割承継親法人のいずれか一の法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該分割型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていればよい。
- 対価株式とは、当該分割型分割により交付される当該分割型分割に係る分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれか一の法人の議決権のある株式であって支配株主に交付されるものをいう。
- 分社型分割の場合、当該分社型分割により交付される当該分社型分割に係る分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれか一の法人の株式の全部が当該分割法人により継続して保有されることが見込まれていること
- 当該分社型分割が無対価分割である場合にあっては、「当該分社型分割に係る分割法人が当該分社型分割の直後に保有する当該分割承継法人の株式の数」に「『当該分社型分割が適格分社型分割に該当するものとした場合における当該分社型分割の直後の当該分社型分割に係る分割承継法人の株式の帳簿価額』のうちに『当該分社型分割の直前の移転資産の帳簿価額から移転負債の帳簿価額を控除した金額』の占める割合」を乗じて計算した数の当該分割承継法人の株式の全部が継続保有されることが見込まれていればよい(法規3条の2の2第4項、5項)。
- 当該分社型分割後に行われる適格合併により当該いずれか一の法人の株式の全部が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該合併法人により継続して保有されることが見込まれていればよい。
- 当該分社型分割後に当該いずれか一の法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該分社型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該いずれか一の法人の株式の全部が当該分割法人により継続して保有されることが見込まれていればよい。
- 分割型分割の場合、対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていること
- ⑧ 無対価分割にあっては、以下のいずれかに該当しなければならない。
- 分割法人の株主等(当該分割法人及び分割承継法人を除く。)及び分割承継法人の株主等(当該分割承継法人を除く。)の全てについて、その者が保有する当該分割法人の株式の数の当該分割法人の発行済株式等(当該分割承継法人が保有する当該分割法人の株式を除く。)の総数のうちに占める割合と当該者が保有する当該分割承継法人の株式の数の当該分割承継法人の発行済株式等の総数のうちに占める割合とが等しい分割型分割
- 当該無対価分割に係る分割法人の全てが資本又は出資を有しない法人である分割型分割
- 分割法人が分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある分社型分割