非適格現物出資の税務

1.現物出資法人の税務

(1)移転資産負債の譲渡損益

時価で譲渡したものとして各事業年度の所得の金額を計算する。

(2)被現物出資法人の株式等の取得価額

現物出資に伴い被現物出資法人の株式等を取得する。その取得価額は給付をした金銭以外の資産の価額の合計額である(法令119条1項2号)。その給付による取得のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算する(法令119条1項2号かっこ書き)。

2.被現物出資法人の税務

(1)移転を受けた資産負債の取得価額

時価で取得する。

(2)資産調整勘定等の認識

現物出資も資産調整勘定等を認識する事由であるため、資産の譲渡等に類似する現物出資でない限り、資産調整勘定等を認識する(法法62条の8第1項、法令123条の10第1項)。詳細に関しては「非適格合併等により移転を受ける資産等に係る資産調整勘定等の税務」を参照。

(3)資本金等の額

①会社法上の資本金の増加に伴う資本金等の額の増加

出資を受け株式を発行するため、資本金が増加する。それに伴い資本金等の額も同額増加する(法令8条1項本文)。

②会社法上の資本金の増加によらない資本金の増加

以下の通り資産調整勘定等を認識するものかどうかにより異なる。

資本金等の額の増加額
資産調整勘定等を認識しない場合現物出資法人に交付した被現物出資法人の株式の非適格現物出資の時の価額から非適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額を減算した金額(法令8条1項9号)
資産調整勘定等を認識する場合給付を受けた金銭以外の資産の価額からその発行により増加した資本金の額又は出資金の額を減算した金額(法令8条1項1号ホ)。