前課税期間の消費税額が一定額を超える場合、消費税の予定納税をしなければならない。消費税の申告が遅れた場合、この予定納税は一部なくなる。
前課税期間の消費税額が一定額を超える場合、その消費税額に応じ進行期の課税期間が区分され、それぞれの期間が中間申告対象期間とされる。例えば前課税期間の消費税額が4,800万円超の場合、1月ごとに区分した期間が中間申告対象期間とされる(消法42条1項)。ただし1月ごとに区分した期間のうち最後の期間は中間申告対象期間とならない(消法42条1項)。イメージとしては最後の期間は確定申告の対象期間となるからである。3月決算であれば4月から2月までのそれぞれの月が中間申告対象期間となる。
中間申告の対象等の判断に前課税期間の消費税額が影響する。前課税期間の消費税額は修正申告等で変更される場合があるため、基準となる日が設けられている。原則として各中間申告対象期間の末日までに確定している前課税期間の消費税額を基準に予定納税を行う。
消費税の申告が遅れ、中間申告対象期間の末日までに申告が行われなかった場合、前課税期間の消費税額が確定していないため、その中間申告対象期間の予定納税はなくなる。例えば3月決算の法人であれば、申告期限の延長をしていない限り申告期限は5月末である。その3月決算の法人が11回納付の法人であったとする。申告が遅れ6月申告となった場合、中間申告対象期間のうち4月、5月についてはその末日までに前課税期間の消費税額が確定していないため、予定納税はなくなる。
申告が遅れた場合の予定納税が問題となるのは11回納付の法人が多いと思われる。11回納付の法人の場合、課税期間開始の日から2月を経過した日の前日までの間に終了した中間申告対象期間については、原則としてその課税期間開始の日から2月を経過した日の前日が中間申告の基準日となる(消法42条1項1号イ)。3月決算の法人であれば4月、5月については5月末が基準日となる。ただし消費税の申告期限の延長を受けている法人についてはその課税期間開始の日から3月を経過した日の前日が中間申告の基準日となる(消令63条の2第1項)。そのため申告期限の延長を受けている法人で11回納付となる法人が6月に申告をしても4月、5月について予定納税する義務を負う。