資産に係る控除対象外消費税等でその控除対象外消費税額等が発生した事業年度の損金の額に算入されないものは、繰延消費税額等として5年で償却される(法令139条の4第3項、4項)。特定課税仕入れはその定義上資産に係る控除対象外消費税額等が発生することは想定しにくいが、条文上は特定課税仕入れについて発生した控除対象外消費税額等が資産に係る控除対象外消費税額等に該当することが想定されている。ただし特定課税仕入れについて発生した資産に係る控除対象外消費税額等は損金経理を要件に発生した事業年度の損金の額に算入できる。そのため損金経理をする限り、その特定課税仕入れについて発生した資産に係る控除対象外消費税額等が繰延消費税額等に該当しない。
特定課税仕入れについても控除対象外消費税額等が発生し得る。特定課税仕入れとは課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいい、特定仕入れとは事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう(消法5条1項、4条1項)。そして特定資産の譲渡等とは事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提供をいう(消法2条1項8号の2)。この特定課税仕入れについては経過措置が適用されない限り、リバースチャージ方式が適用され、課税標準に加算する一方、仕入税額控除の対象となる。仕入税額控除が適用されない部分の金額は控除対象外消費税額等となる。
しかし特定課税仕入れについて資産に係る控除対象外消費税額等が発生することは想定しにくい。特定課税仕入れは事業者向け電気通信利用役務の提供も特定役務の提供もいずれも役務の提供である。そのため特定課税仕入れが資産に該当することはあまり考えられない。前払費用に該当することはあるかもしれないが、前払費用はあくまで会計上の資産である。消費税の計算上前払費用は期間経過によって課税仕入れを認識していくので、控除対象外消費税額等も期間経過による費用計上に伴って計上していく。そのため前払費用に該当する場合であっても、資産に係る控除対象外消費税額等とは言いにくい。従って特定課税仕入れについて発生した控除対外消費税額等は資産に係る控除対象外消費税額等に該当すること、ひいては繰延消費税額等に該当することもあまり考えられない。
しかし条文上は特定課税仕入れについて資産に係る控除対象外消費税額等が発生することが想定されている。特定課税仕入れについて資産に係る控除対象外消費税額等が発生した場合、課税売上割合が80%未満である事業年度であっても、損金経理を要件として全額その事業年度の損金の額に算入される(法令139条の4第2項2号)。従って特定課税仕入れについて発生した資産に係る控除対象外消費税額等は損金経理される限り、繰延消費税額等に該当しない。