短期重要負債調整勘定

1.短期重要負債調整勘定の金額の計上すべき場合

内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該内国法人が当該非適格合併等により当該被合併法人等から移転を受けた事業に係る将来の債務で、その履行が当該非適格合併等の日からおおむね3年以内に見込まれるものについて、当該内国法人がその履行に係る負担の引受けをした場合、短期重要負債調整勘定の金額を計上する(法法62条の8第2項2号)。

短期重要負債調整勘定の金額の対象となる将来の債務は当該事業の利益に重大な影響を与えるものに限られる(法法62条の8第2項2号かっこ書き)。また退職給与債務引受けに係るもの及び既にその履行をすべきことが確定しているものも除外される(法法62条の8第2項2号かっこ書き)。

また将来の債務の額に相当する金額として移転を受けた事業につき生ずるおそれのある損失の額として見込まれる金額が非適格合併等により移転を受けた資産の取得価額の合計額の20%相当額以下の場合、短期重要負債調整勘定の金額は計上しない(法令123条の10第8項)。

将来損失が生じるとみられる法人を合併して課税の繰延を図ることを防止するためのものなのではないかと思う。

2.短期重要負債調整勘定の金額

短期重要負債調整勘定の金額は短期重要債務見込額である。短期重要債務見込額はその将来の債務に相当する金額とされる(法令123条の10第8項)。

3.短期重要負債調整勘定の金額の減額

(1)短期重要債務見込額に係る損失が生じた場合

短期重要負債調整勘定の金額を有する内国法人は、短期重要債務見込額に係る損失が生じた場合、当該短期重要債務見込額に係る負債調整勘定の金額のうち当該損失の額に相当する金額を減額しなければならない(法法62条の8第6項2号)。

(2)非適格合併等の日から3年が経過した場合

短期重要負債調整勘定の金額を有する内国法人は、当該短期重要負債調整勘定に係る非適格合併等の日から3年が経過した場合、当該短期重要負債調整勘定の金額を減額しなければならない(法法62条の8第6項2号)。

(3)残余財産が確定した場合又は自己を被合併法人とする非適格合併を行う場合

短期重要負債調整勘定の金額を有する内国法人は、残余財産が確定した場合又は自己を被合併法人とする非適格合併を行う場合、当該短期重要負債調整勘定の金額を減額しなければならない(法法62条の8第6項2号)。

(4)減額した金額の取扱い

減額すべきこととなった短期重要負債調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなった日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する(法法62条の8第8項)。